約180社が出展した今年のジュネーブ国際モーターショー。世界初・欧州初の出展が相次いだ

独フォルクスワーゲン（VW）は、EV専用プラットフォーム「MEB」を採用した「ID．バギー」を世界初公開した。MEBは用途をEVに絞り込んだ専用車台。アッパーボディーとの組み合わせで様々な車両ができる。ID．バギーは、車両を小規模生産するような事業者に、MEBを使うことの優位性を訴えたコンセプトカーでもある

独ダイムラーは電動車ブランド「EQ」ブランドのMPV「EQV」を世界初公開した。100キロワット時の容量のバッテリーを搭載したEVで、航続距離は約400キロメートル。このコンセプトモデルに基づいた量産車を今年のフランクフルトモーターショーで発表する予定

シトロエンは「AMI　ONE　コンセプト」を公開。全長2．5メートル、全幅1．5メートル、全高1．5メートルの超小型EVのコンセプト。航続距離は100キロメートルで、フランスでは14歳以上であれば免許不要で運転可能。二輪車に代わる移動手段としての提案だ。スマートフォンを活用したコネクテッド機能を搭載しており、カーシェアリングでの利用も想定しているという

プジョーは、「208」のガソリン、ディーゼルモデルとともに、EV「e－208」を世界初公開した。モーターの最大出力は136psでトルクは260ニュートンメートルとなっている

アウディは「Q4　e－tronコンセプト」を世界初公開した。フロントとリアにモーターを2個ずつ搭載した。航続距離は450キロメートル（WLTP）。フォルクスワーゲングループのEV専用プラットフォームのMEBを使用している

ルノーは新型「クリオ」を展示した。ルノー・日産自動車・三菱自動車アライアンスのモジュラープラットフォーム「CMF－B」を活用して設計した最初のモデルとなる。CMF－Bは、電動化や自動運転技術の搭載を念頭に置いて開発されているという。新型クリオには、自社開発したハイブリッド技術も搭載される

ボルボ傘下のポールスターはEV「ポールスター2」を展示。19年に販売を開始する。欧州や北米、中国で展開を始める予定だ。発売当初に販売するモデルの価格は5万9900 ユーロ （約757万円）。テスラ「モデル3」を競合として意識したモデルという。モーター出力は最大300キロワットでトルクは最大660ニュートンメートル。時速0キロメートルから100キロメートルに加速するのに要する時間は5秒。全てオンライン販売となるのも特徴で、後にサブスクリプションサービスも展開する予定

部品メーカーでは米グッドイヤーのコンセプトタイヤが注目を集めた。空飛ぶ自動車用に設計したコンセプトタイヤで、通常通り地上を走行するほか、タイヤを横にすることでプロペラとしても機能する。未来の通勤は地上と空中を自由自在に移動するようになるのかもしれない

フォルクスワーゲン・グループのトップを務めたフェルディナント・ピエヒ氏の息子が立ち上げたピエヒ・オートモーティブも出展。高級スポーツEV「マークゼロ」を初公開した。航続距離は500キロメートル（WLTP）で、最高速度は時速250キロメートル。量産計画は未定。ブースでは、バッテリーやモーターを組み合わせたプラットフォームも公開していた

フォルクスワーゲン・グループ・コンポーネンツはVW向けに供給するエンジンやトランスミッションなどのほか、モーターやバッテリーなど電動車部品も手掛けている。出展したEV充電設備「フレキシブル・クイック・チャージングステーション」は、電力系統に接続していない充電設備。例えば太陽光や風力発電によって蓄電した後、イベント会場などに一時的に設置するといった用途を想定したものだという