Luup、三輪タイプの特定小型原付 新型開発着々 高齢者利用も想定

  • 交通・物流・架装
  • 2025年8月23日

 電動キックボードなどのシェアリングサービスを手掛けるLuup(ループ、岡井大輝代表CEO、東京都品川区)は、三輪タイプの「特定小型原動機付き自転車(特定小型原付)」の開発を進めている。アイシンが開発した車体の姿勢を自動制御する技術などを盛り込み、従来の二輪タイプと比べて走行時の安定性を高める。地方に加え、都市部でも人手不足で路線バスの運行が休止に追い込まれるなど、公共交通網の維持が難しくなっている地域も目立っている。使いやすいマイクロモビリティの実用化で、運転免許を持たない人の移動の自由を確保していく狙いだ。

 これに導入した新技術は、車速やステアリングの舵角などの情報を分析し、車体の傾斜角をリアルタイムで制御するもの。特定小型原付で速度を出したり、旋回したりする場合に不安定となる課題の解消につなげる。車体の姿勢を自動で最適化することで、二輪タイプの特定小型原付と比べて自然に曲がれるようにした。岡井代表は「自転車と同等の速度で安定して曲がれる三輪車は世界的にも珍しい」としている。

 国土交通省が2025年に実施した調査によると、バスやタクシーといった公共交通機関が利用しづらい「交通空白」地域が全国に2057地区あるという。移動手段を手軽に利用できないことから、自家用車がない住民の中には外出困難者が増えると想定される。短距離の移動に適した特定小型原付を利用すれば、公共交通機関があるポイントを結べることから、交通空白地域の課題を解決できる一つの答えになる可能性もある。

 ただ、これまでの特定小型原付には、課題も少なくなかった。都市部では若年層を中心に利用が広がっている一方、地方の交通空白地域では高齢者を念頭に置く必要があった。新型車はこうした背景を踏まえ、着座式を採用するなどした。岡井代表は「高齢者も含めて幅広い世代が使えるモデルを目指す」考えを示す。

 同社では利用者に合わせて最高速度を調整したり、走行補助システムを追加したりできる機能を付加し、安全性能をさらに高める計画だ。

 ループは26年度までに、公道で新型車の実証実験を実施する予定。その後、シェアリングサービスの導入を予定している。同社は現在、二輪タイプの電動キックボードと電動アシスト自転車の貸し出し数で業界首位となっており、新型車で利用者の層を広げることで競合他社との差を広げていく考えだ。

(舩山 知彦)

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