白倉まゆみさん（東京都在住、47歳）　愛猫「たんたん」と「いこちゃん」をモデルに毎日絵を描いている。事故の後遺症で体の自由が利かない中、〝口ペン〟だけで描いたとは思えないほど繊細なタッチが魅力的な作品

大竹保行さん（広島県在住）「秋の宮島　大鳥居」「原爆ドーム」　1984年の交通事故で首の骨を骨折（頚髄損傷）、残された首から上の機能使って口に筆をとり絵を描く。最初は「出来るはずがない」とあきらめかけた。しかし、訓練を重ねて「宮島」の風景を描写できるほど上達。大竹さんは「障害を持っていても出来ることがあるんだと知ってほしい」というメッセージを先品を通じて発信している

井上聡さん（愛知県在住、42歳）「水引きの様」　第6頸椎損傷による完全麻痺で車いす利用者として生活。その上で車いす陸上競技にも打ち込み400メートル、800メートル、1500メートル、マラソンの各競技で日本記録を樹立するなどアスリートして活躍。その傍らの趣味として植物や風景の写真撮影を楽しむ

福永喜久夫さん（徳島県在住）「阿波踊り」　2001年4月、出勤途中で事故に遭い脳の一部を損傷し失語症、右半身などの障害が残った。リハビリを兼ねて切絵などの作品づくりを開始、現在は折り紙、七宝焼き、陶芸、シャドーアートなど多彩な作品を創作している

渋谷脩人さん（1985年生まれ）「絵手紙」　2001年、二輪車乗車中に事故に遭い脊髄を損傷、現在は車いすで生活している。首から下が不自由なため、口に筆をくわえ水彩絵の具で絵手紙を描く。作品は色鮮やかで柔らかなタッチと前向きな言葉が印象に残る

G様（男性、千葉療護センター）　コロナ禍で会えない大好きな家族の絵を描いた。母の髪の毛はこんな色、父の髭はこんな感じと一つひとつ丁寧に思い出しながら仕上げた

T様（男性、千葉療護センター）「七転び八起き」　両側ともに麻痺があり、特に左上肢は運動範囲が狭い。筋緊張亢進もみられ、性急性のある動きは困難だが、書道の場面では左手で半紙を押さえながら書くことができ、丁寧に仕上げた。〝七転び八起き〟は自身の目標という

S様（女性、千葉療護センター）　洋服をデザインをしていた経験を生かして裾をレースにしたり「お花をこの場所に」など、試行錯誤しながら作品を仕上げた。小さな花をつまんで台紙に貼る作業はとても難しかったが、時間をかけて素敵なドレスに仕上げた

更谷祥子さん（奈良県在住）「感謝」　1997年、自動車運転中に正面衝突で受傷し半身麻痺、失語症の後遺障がい害。「多くの方々のご指導のお陰で趣味の書道ができるようになりました」という〝感謝〟を込めた作品

N様（女性、千葉療護センター）　美味しいものをたくさん食べること、ディズニーの音楽、ピアノを弾くことが大好き。リハビリでは食べること、言葉（発音・読み書き）の練習を頑張る。今回の作品は本人が一番好きな「永谷園のお吸い物」のパッケージを自分好みにアレンジ。作業にはヘルパーが着いたが、飾りつけを考えながら書く・貼る作業に取り組み、満足いく作品を創作した

H・T様（41歳・男性、長野県）「刺し子」　1998年、20歳の時に事故で頭部を傷め、下半身と左腕が不自由になった。構音という脳機能にも影響し、日常会話に支障が出たことに加え複視となり物を認識しづらくなった。ストレスがたまり物に当たり散らすことがあったが、現在は自由に動く右手を使って作業所に通い、両親の愛を受けながら元気に過ごす。この作品は右手だけで刺し子を使いこなし仕上げた

J様（女性、千葉療護センター）　もともと木彫りの講師をしていたほどの腕前。ニードルで羊毛を1万回超も刺すという細やかな根気のいる作業を全く苦にせず、集中力を発揮してこなした。麻痺の強い左手も自然に台を押さえるために使うことが、注意力を高める良いリハビリにつながった。「上品でとてもかわいらしい奥様」という本人のイメージにぴったり合う作品になったと評判

梅宮俊明さん（54歳、埼玉県）「金沢散策」　19歳の時に自動車事故で脊髄を損傷し車いす生活。肩から下の感覚がない。父親の死後、自立の道を模索し、油絵の先生や一緒に絵を描く仲間たちとの出会いを経て、口での描画を始めた。2008年に初めて出品した障がい画家の作品展で「全国肢体不自由児者父母の会連合賞」を受賞したほか11年には夢だった個展を開催。障がいを持つ仲間たちに「夢を少しでも与えられる絵を描きたい」と奮闘を続ける