「ハッチバックって何ですか?」―J.D.パワージャパンとオートックワンが共同開発した新車選びをサポートするサイトの発表会。ゲストとして登場したタレントのミキティこと藤本美貴が乗り継いできたクルマについて、司会者が「1台目がハッチバック、2台目がファミリータイプのエコカー」と紹介すると、飛び出したのが冒頭の発言だ。
若者のクルマ離れが言われるが、男女を問わず、クルマに興味を持たない人が増えており、これが新車選びを難しくしている。J.D.パワージャパンが新車購入経験のある男女約400人を対象に調査した「新車選びに関する実態・意識調査」によると、新車選びが「とても難しい」「やや難しい」と回答した人は全体の61.8%に達した。特に女性は7割以上が「難しい」と感じている。
そして車選びで難しいと感じるポイントについて女性は「メーカーによる車の違いが分からない」が43.9%、「車に関する専門用語が多い」が30.4%だった。男性では「購入後の維持費用がイメージしにくい」が40.7%、「グレードやオプションの選び方が分からない」も34.3%だった。多種多様なモデルが販売されているものの、クルマに詳しくないことから「決め手」が見つからず、車選びを難しくしている。
これに対応するため、新車見積もりサイトなどを手がけるオートックワンと、顧客満足度を調査するJ.D.パワージャパンは、自動車総合サイト「MOTA(モータ)」を共同開発した。モデルごとに評価して、新車選びの参考にしてもらうもの。
モデルごとのスコアは、J.D.パワージャパンが新車購入から2~9カ月目の実際のユーザーを対象に調査した「日本自動車商品魅力度調査」、新車購入から2~9カ月までのユーザーを対象に調査した「日本自動車初期品質調査」での評価結果のデータをベースとしている。1モデル当たり100件以上の結果をベースにスコア化しており、総合点のほか、燃費や安全性、居住性など、個別の性能についても点数化している。
今後、J.D.パワージャパンが新車購入から15~50カ月までのユーザーに販売店の対応を調べた「日本自動車サービス満足度調査」結果をもとに、J.D.パワージャパンの専門調査員が店舗施設や接客対応の質を審査してスコア化する「ディーラー評価」や、自動ブレーキなどの各モデルの先進運転支援システム(ADAS)を実際に試験して、性能を評価する「テクノロジー評価」も実施する予定だ。
オートックワンは「MOTA」を通じて新車選びを支援し、サイト訪問者の新車見積もりを促進して手数料を確保する。J.D.パワージャパンはサイトを通じて得た消費者に関するデータをベースに、販売動向やモビリティの変革についての情報を、自動車メーカーに提供し、新しいクルマづくりに貢献していく構え。
発表会では、ミキティが「MOTA」のデモンストレーションを行ったが、ミキティが「燃費が良くて、安全性が高い」などの希望を述べると、担当者が日産の電気自動車「リーフ」をオススメ。ミキティは「ちょうど、電気自動車が欲しくて見に行ったばかり」と述べていた。ただ、クルマに詳しい人がいれば、モデルごとに点数化されており、選ぶ際の参考にできるが、クルマについて知識を持たない人がサイトを活用するのは難しそうだ。クルマに興味を持たない層をどう惹きつけるかが自動車業界の課題だ。